R4年度の主な着目テーマ(更新中)

 コンピュータの中にあるサイバー空間と我々の住む実世界との間には、まだまだ大きな壁があります。佐藤研究室では、HCI分野に軸足を置き、Computer Vision/Graphics技術を武器にコンピュータのインタフェースおよびディスプレイを拡張することでこの「隔たり」を解消し、「人と情報」・「人とモノ」・「人と人」との「より直接的な」対話を実現する新しい対話手法を提案する研究を行っています。
 ここでは、佐藤研究室が最近興味を持っている研究テーマ・ビジョンについて、いくつか例を挙げながら紹介します。

最近の研究1: 全周囲プロジェクションマッピングディスプレイの研究

 目の前に「高さのある側面」を持つ立体的な形状をしたディスプレイがあった場合、ただ周囲から目で眺めるだけではなく、直接手に取って触りたくなるはずです。佐藤研究室では、立体的な形状を持つオブジェクトを「直接手に取って扱う」ことに着目した、人と物との自然な対話をベースにした新しいタンジブルインタラクションの提案を行う研究を行っています。

球体ディスプレイ「Qoom」(連携: 東工大)と全周囲ディスプレイ搭載ゲームデバイス「Uplight」(連携: 電通大IML)

また視覚情報提示のみならず、聴覚や嗅覚情報提示が可能なディスプレイへの拡張も試みています。これらのプロジェクトは、現在電通大IMLと協力しながら行っています。

SoundCatcher: タンジブルな能動的音楽鑑賞を実現するスピーカアレイデバイス(連携: 電通大IML)

最近の研究例2: プロジェクションマッピング拡張のための新しいプロカム技術の研究

 立体的な構造物に複数のプロジェクタから映像を投影し、グラフィックスと実世界を高い没入感で融合させた映像コンテンツが様々な場所で体験できるようになってきました。しかし、複数プロジェクタの設置やそれらのキャリブレーションは容易ではなく、実現可能な環境やコンテンツも限られるという課題があります。そこで佐藤研究室では、この問題を根本から解決する新しいプロカムシステムとして、180度以上の画角を持ち、1台で全周囲投影および全周囲撮影を可能にする同軸プロジェクタカメラシステム「OmniProCam」技術を提案し、インタラクティブなプロジェクションマッピングがどこでも実現可能になるような世界を目指しています。このOmniProCamプロジェクトは東京工業大学小池英樹研究室(小池先生・宮藤先生)と協力して進めています。

最近の研究3: スクリーンの物理/光学的透過性制御を用いた全周囲ディスプレイ

 立体構造物の全周囲に映像を投影する全周囲ディスプレイは、大きく分けて「スクリーンを外から眺める」タイプ(下図のスクリーンA)と、「スクリーンの内から眺める」タイプ (同スクリーンB)に分類することができると考えています。佐藤研究室では、それぞれ全く異なるインタラクション要素を持つ2つのタイプの全周囲ディスプレイのインタラクション要素を、1台の超広角プロカム(OmniProCam)技術を用いたスクリーン中央1点からの全周囲投影に加え「光学的な透過性(透明性)」および「物理的な透過性(通過可能性)」を持つ異なる2つのスクリーンを用いて1つに統合する試みを行っています。

最近の研究4: サーフェイス拡張技術の研究

 長い間、「平面的で硬い」ディスプレイが一般的でした。文字や画像情報を提示するのに適した形状ではありますが、立体的な形状を持つデータ(3DCGやキャラクター等)を表示する場合、「手で形状に触れられない」、「触っても硬い感触しかない」等の様々な制約が発生します。佐藤研究室では、ディスプレイの「表面(サーフェイス)」に着目し、サーフェイスに様々な「特殊能力」を持たせることで、従来のディスプレイではできなかった人と情報との「肌を介した」より直接的な対話を実現する試みを行っています。

剛性可変視触覚ディスプレイ「ClaytricSurface」

応用テーマ例: エンタテインメント応用、医療・教育応用、連携等

 佐藤研究室では、開発した新しいディスプレイプラットフォームおよび入出力技術を積極的に「人を楽しませる」システムに応用し、研究技術を楽しく世界に広める試みを行っています。また教育・医療などへの応用も積極的に行っています。また他研究機関(東工大・電通大・武蔵美大等々)や企業、官公庁と連携しながら、応用研究や研究実用化も積極的に進めていきます。

テーブル型ディスプレイ「PacPac」実用化計画ゲームセンター用試作筐体(株式会社フローベル様制作)
胸骨圧迫訓練を支援するVRディスプレイシステム(白山野々市広域消防本部との共同プロジェクト)